表題番号:2005B-299 日付:2006/04/22
研究課題大学・企業の協働によるカリキュラム・研修の相互利活用に関する基礎調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助教授 松居 辰則
(連携研究者) 人間科学学術院 教授 野嶋 栄一郎
研究成果概要
 本研究の目的は,大学と企業が協働し教育・研修コンテンツ,教育・研修方法やカリキュラムを大学と企業,もしくは企業と企業が相互に利活用するための制度・運用形態・支援技術などに関する基礎調査を行うことにある.具体的には,次の手順で国内外のニーズや動向の調査および体系化を試みた.
 ① 大学等教育機関と企業の協働による目的指向の人材育成モデルの記述.
 ② 国内外の大学・企業の教育/研修コンテンツ,カリキュラム,教育/研修方法の実態調査・整理.
 ③ ②の結果に基づき,相互運用可能なコンテンツ(内容,カリキュラム上の位置づけ,学習形態など)の体系化を行う.     ④ 社会や企業の求める人材要件,大学等教育機関のカリキュラム,および能力レベルなどの多様な軸から構成されるコンテンツの統合マトリクスの作成.
 ⑤ ③で整理されたコンテンツの④でのマトリクスへのマッピング.ただし,この段階では事例にマトリクスの妥当性評価にとどめる.
 なお,以下の項目は今後の課題とすることとした.
 ⑥ ④に対応した学習者の能力やスキルの評価基準および評価手法の検討(人材評価モデルの記述).ただし,この段階では事例の適用による妥当性評価にとどめる.
 ⑦ 相互運用するための単位認定制度の検討と素案の作成.
 ⑧ 相互運用するための課金制度,ライセンス制度の検討(再構築)と素案の作成.
 ⑨ 学習者管理,コンテンツ管理・運用,学習者評価(テスティング),コンテンツ評価のための統合化されたLMS(Learning Management System)の仕様とアーキテクチャの検討.
 ⑩ プラットフォーム(認証,課金,ライセンス管理,負荷分散,各種情報の提供)とLMSとの連動のための仕様とアーキテクチャの検討.
 ⑪ 実施するための適切な行政の対応(支援,税制などの法整備)の可能性の検討.

 今後は,本研究の成果を受けて,より広範囲の分野からの研究者・実践者を招き入れ,上記の各項目の成果を基盤とした研究・開発へと展開する予定である.大学・企業の協働による目的指向の人材育成モデル(上記①)を構成する各種モジュール(コンテンツ,統合マトリクス,評価基準,評価手法)(上記の②~⑥),および各種制度(課金制度,ライセンス管理など)(上記の⑦⑧⑪)を確立・実現し,統合LMS,プラットフォームを開発し実装する(上記の⑨⑩).そして,各種実証実験・実運用を通して,大学・企業の協働による新しい人材育成,産業創出(人材雇用)の新機軸を示す予定である.