表題番号:2005B-297 日付:2008/06/02
研究課題ヘルスケア・パートナロボットのコンテンツ開発/標準化と、グローバルなビジネス創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 助教授 可部 明克
研究成果概要
<ヘルスケア・パートナロボットのコンテンツ開発/標準化>

1.ヘルスケア・パートナロボットのコンテンツ開発

 (1)基本方式
   オランダで生まれ世界各国に普及してきたスヌーズレンを基本コンセプトに掲げた。これは、重度の知的障害を
  持つ人々との関わりの理念として、スヌッフレン[探索する]とドゥーズレン[うとうとする]の造語として生まれ、
  発展してきた。このコンセプトを基に、家や家具などの生活空間が各個人の心身状況を生体センサ等によって読み取り、
  各個人に対応した空間を演出するべく研究を進め、特定のロボットをベースにシステムを構築した。
   建築と人間の間を繋ぐ役目としてロボットを仲介することにより、スヌーズレンの空間・環境を作りだし、
  認知症の進行の抑制、予防支援、個人に対応した空間の創造などに役立たせることを目的としたシステムを試作した。
    ・ロボットは富士通PFU製MARON-1を使用し、音声認識ソフト・システム制御用のミドルウェア(独自開発)
    などを搭載した統合コントローラ(ハードウェアはパソコン)から制御した。
    ・その後の研究を進めるために、自主開発のロボット「赤ちゃん型ロボット」の試作を開始し、外観および使用する
    ロボット部品などから構成した「コンセプト試作」を静止展示し、国際ロボット展への来場者の反響を探った。

 (2)システムの試作
   具体的には、光・音楽・いろいろな素材の触覚・香りなどを提供するスヌーズレンデバイスや各種機器を使用し、
  個人のペースで感じ取りやすく、楽しみやすい刺激を備えた環境を作り出し、それを仲介役のロボットと一緒に自然と
  楽しめるシステムを試作し、デモを行った。
   なお、各種の展示会・シンポジウムにて発表した。
    ・イノベーションジャパン2005(パネル展示)
    ・2005国際ロボット展(システム構築、デモ)
    ・2005国際ロボットシンポジウム(発表、英文)
    ・第10回おおた工業展(システムデモ)
    ・ロボティクスシンポジア(発表、日本語)
   2005国際ロボット展への出展内容は、各メディアに報道していただき、特に
  英国BBC放送「Asia Business News」にインタビュー付で紹介された。


2.標準化

  ヘルスケア・パートナロボットのコンテンツが標準化されることを狙い、サービスロボットのコンセプトを
 通信ネットワーク上のプロトコル定義の面から標準化を進めている「ロボット・サービス・イニシアチブ」に加入し、
 三菱重工・富士通・ソニーなどの企業と共同で、標準化を進めるための準備を開始した。



<グローバルなビジネスの創出>

  スヌーズレンのデバイスを開発・製造販売しているオランダのBarry Emons社の社長および日本代理店責任者と打合せし、
 ロボットをインタフェースとしてシステムを構築した、具体的な内容および効果の可能性につきディスカッションを行った。
  ・2005年9月 日本で打ち合わせ

  また、世界各国の福祉系企業と福祉機器の取引を行っている日本アビリティーズの営業部門幹部の方とも懇談し、
 今後この分野でビジネスを創出するための情報交換を行った。
  ・2005年9月 国際福祉機器展の開催時に懇談