表題番号:2005B-257 日付:2006/11/19
研究課題低温熱源利用が可能な低温アンモニア吸収冷凍機に用いる改良型精留器の実証試験
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助教授 天野 嘉春
研究成果概要
吸収式冷凍機,ヒートポンプは,排熱駆動が可能であるため,熱のカスケード利用におけるボトミング機器として注目されている.吸収式冷凍機には,冷媒にアンモニア,吸収剤に水を用いるいわゆるアンモニア吸収式と,冷媒に水を,吸収剤に臭化リチウム水溶液を用いる臭化リチウムとがある.一般に,臭化リチウム式が市場に多く出回っている.これは,装置が比較的小さく,かつ,成績係数がアンモニア式に比べて若干勝るためである.しかし,臭化リチウムは水を冷媒とするため,零度以下の冷熱を発生させることが一般できには困難である.そのため,空調用の冷温水発生機として開発,利用されている.
 一方で,アンモニア式はアンモニアを冷媒とするためマイナス60℃付近までの低温冷熱を出力することが可能であるが,装置が大型化する傾向にあり,産業用,業務用のプラント技術として発展してきた.ところが,低温度の冷熱を出力するためには熱力学的には高温度の熱源を必要とするが,サイクル内の濃度バランスを適切に調節することで,もっとも大きな構成要素である精留器を小型化し,リフラックス制御による冷媒濃度調整なしにシステムを運転することができることを,現有の実稼働設備(100USRT)を用いて予備実験を行った.その結果,サイクル内での濃度バランスを,ブリード量を適切に調整し,溶液サイクルバランスを適切に保つことで,精留器内での精留に必要な熱量の削減が確認できた.この結果,成績係数が若干低下するも,これまで常識とされてきたほど高濃度に精留しないことで,システムを簡素に,かつ小型化が可能であることが示された.