表題番号:2005B-211 日付:2006/11/20
研究課題分子素子を指向した多核金属錯体の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助教授 山口 正
研究成果概要
 以前に得られた直鎖状のcatena-[{Pt(dbbp)(bpy)}2Ag2](SbF6)2 (1) (H2dbbp=4,4'-di-t-butylbiphenyl) の合成を参考にcatena-[{Pt(dbbp)(L)}2Ag2](SbF6)2.m benzen (L=4,4'dimetylbipyridine, m=1 (2); L=5,5'dimetylbipyridine, m=0.5 (3))の大きな単結晶を得ることができた。これらの錯体は何れも-Pt-Ag-Pt-Ag-の一次元構造をとっており、そのPt-Ag距離(2.7309(5)~2.8637(5)Å for (2); 2.816(2)~2.943(2)Å for (3))も短く金属-金属間結合からなる一次元鎖錯体であった。これらの錯体は錯体(1)とは異なり結晶溶媒であるベンゼンの喪失を起こさないことが明らかになったため、錯体(2)について四端子法により電気伝導度の測定を行った。しかし、ほとんど電気を通さない絶縁体であることが明らかになった。そこで光誘起の電気伝導を期待して光照射を行い電導度測定を行ったが、電気伝導度の向上は見られなかった。
 また、これらの錯体を得る過程で大過剰ではなく小過剰のAg塩を用いることによって三核錯体[{Pt(dbbp)(L)}2Ag](SbF6).m benzene (L=phenanthrorine, m=2 (4); L=5,5'dimetylbipyridine, m=3 (5))が得られた。これらの錯体は2つの白金錯体がAgを挟む形で配位した三核構造であり,Pt-Ag距離が非常に短い(2.6961(5)~2.7265(5)Åfor (4)、2.667(1)~2.737(1)Å for(5)。また量錯体とも結晶中で隣接分子と互いにスタックし一次元差を形成していた(Pt…Pt=3.3~3.5Å)。