表題番号:2005B-201 日付:2006/10/30
研究課題未利用の膨潤性雲母様鉱物資源の高度カスケード利用研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 山崎 淳司
研究成果概要
 本研究では、代表的な膨潤性雲母様鉱物であるバーミキュライトおよびハイドロバイオタイトについて、まだ十分に理解されていない特異な結晶化学的性質の発現機構を解明し、新規の高機能性原料として、安価かつ高付加価値利用を提案することを目的とする。典型的な膨潤性雲母様鉱物のうち、南アフリカ産のハイドロバイオタイト、ジンバブエ産のバーミキュライトの天然試料、および建材等に使用された試料について酸処理分離によって濃縮した試料について、基本的な鉱物化学的物性の測定と比較を行った。その結果、酸処理を施すことによる酸発泡によって、比表面積が大きく、かつマクロ細孔が形成して、高い剥離性を示すことがわかった。その変化挙動は、酸種(過酸化水素、塩酸、硫酸、硝酸など)と処理条件(濃度、温度、処理時間など)によって、その結晶性、溶出イオンの選択性など大きく依存することがわかった。さらに、セシウム及びリチウムなどの放射性元素の同位体イオンについてイオン交換(研究室ではコールド試験のみ)特性を検討した。バーミキュライト、ハイドロバイオタイトのいずれの試料についても、セシウムイオンに対しては大きな選択性があり、セシウムイオンを容易に層間に取り込むことで、結晶母層自身が顕著なダメージを得るのに対して、リチウムイオンは容易に交換しないが、リチウムイオン型に調製したものは、結晶性が維持され、結晶母層中に交換性陽イオンが作用して膨潤性(層電荷)が顕著に変化することが示された。さらに高機能性付与を目指して、Cu, Ni, Ag, Znなどの遷移金属イオンまたは遷移金属水酸化物、第4級アルキルアルコールなどの抗菌性を有する有機化合物を迅速かつ効率的に構造層間へ導入して複合体の調製を試みている。