表題番号:2005B-190 日付:2008/11/17
研究課題溶融結晶法による有機単結晶トランジスタの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 古川 行夫
(連携研究者) 理工学術院 客員研究助手 細井 宜伸
研究成果概要
熱酸化によりSiO2膜を形成したn+-Si基板を購入し,フォトリソグラフィー法により櫛型電極を作製し,その上に,昇華精製した粉末のテトラチアフルバレン(TTF)をのせて,ヒーターにより116 ℃ まで加熱して融解させたのち,温度を113 ℃ まで急激に下げて過冷却状態にして,結晶化を待ち,有機電界効果トランジスタを作製した.種々のゲート電圧に対して,ドレイン電流・ドレイン電圧を測定したところドレイン電流の飽和を示す良好なp型トランジスタ特性を得ることができた.得られたトランジスタ特性から,ホールの移動度は,3.0 x 10 -5 cm2/Vs,ドレイン電流のオン・オフ比は6 x 102と求めることができた.X線回折を測定したところ,粒径の大きな多結晶状態であった.溶融結晶法により,有機電界効果トランジスタを作製できることを示した.この方法は,融点が低いために,これまで蒸着法では有機電界効果トランジスタを作製することができなかった有機化合物に関して,有機トランジスタを作製する新しい方法となる.今後は,温度制御を精密にして,大きな単結晶を得ることが性能の向上に繋がると思われる.