表題番号:2005B-184 日付:2008/05/28
研究課題巨大海溝型地震に対する社会基盤施設の耐震性向上に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 濱田 政則
研究成果概要
 東海地震、東南海地震、南海地震および巨大海溝地震を想定して、長周期地震動に対する原油・重油タンクの安全性、および埋立臨海部の護岸の耐震性と補強方法を実験および数値解析によって研究し、以下の主要な結果を得た。

(1)原油・重油タンクの安全性:東海地震および東南海地震を想定した場合、東京湾臨海部にある約600基余りの原油・重油タンクから内容物がスロッシングにより溢出することが予測された。これは、東京湾沿岸の京葉・京浜コンビナートにおいて5~8秒の長周期地震動が卓越するためである。タンクからの大量の原油・重油の溢出は地震後の東京湾の海上交通に極めて深刻な影響を与え、ひいては大規模な海上火災が発生する可能性がある。今後、公的資金をも投入した護岸の補強が喫緊の課題であることが本研究により強く指摘された。

(2)臨海部埋立地護岸の耐震性と補強対策:護岸の液状化・流動化に対する耐震性と補強工法の有効性を遠心載荷場で模型実験および数値解析により検討した。この結果、補強のために建設された地中壁には、地中壁の上下流地表面に生ずる段差および上下流の地盤の液状化の度合の差による上圧が発生することが示された。本研究により既設護岸の背後に鋼製矢板を打設する補強工法の耐震計算法が確立された。