表題番号:2005B-172 日付:2006/03/27
研究課題超高詳細ディジタル動画像の汎用トランスコードシステム技術に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 富永 英義
研究成果概要
 現行システムにおいてDVDやディジタル放送システムにて最も多く用いられている
MPEG-2(ISO/IEC 13922)フォーマットから、次世代フォーマットとして最も期待の多い
H.264フォーマットへのトランスコード技術は、最も汎用性の高い技術と考えられる。
本研究では、MPEG-2の既符号化情報を利用し、発生符号量を目標符号量に一致される
ことを主たる目的としてMPEG-2 / H.264トランスコーダの符号量制御の検討を行った。
 本研究では、MPEG-2 DecorderとH.264 Encoderをカスケード接続したトランスコー
ダを用いている。Iフレームに関する符号量制御手法は、次の4ステップをGOP毎に繰
り返すことにより実現する。但し,IフレームのQP以外の各種パラメータの更新は、
H.264符号化リファレンスソフト(JM)の手法を適用した。
 Step1--MPEG2既符号化情報の取得。MPEG-2を復号する際,MPEG-2符号化時の量子化
パラメータQP,及びIフレームの符号量を取得する。
Step2--QP更新関数の比例係数K算出。Step1で取得したMPEG-2のQP,算出した1画素
当たりの符号量bpp, QP更新関数より出力H.264の符号量を予測する際の基準となる
比例係数Kを算出する。
 Step3--K誤差補正。Step2で算出したKと発生符号量とQPを利用して算出したKの誤差率
を算出する。該当フレームが第2番GOP以降のフレームであれば、Kを補正する。
 Step4--量子化パラメータQP更新。目標符号量よりIフレームに割り当てる符号量TIを
設定する。TIの設定はMPEG-2 TM-5を基に修正したものを利用する。算出したTIを利用
して1画素あたりの目標符号量を算出し,KをQP更新関数に代入することにより,QPを
更新する。
 以上の提案手法の有効性を確認するための実験を行ったところ,JMを利用した既存
手法と比較して,安定した符号量制御を実現することができた。本手法は,目標発生
符号量に対する発生符号量の大幅な変動を防ぐことができることから,GOP単位のシーン
チェンジなどに適用するとその有効性が発揮される。