表題番号:2005B-164 日付:2008/06/03
研究課題二足ヒューマノイド・ロボットを用いた医療福祉機器の定量的評価法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高西 淳夫
研究成果概要
人間の歩行を解析する試みは100年近い歴史を持つが,これまでの歩行解析手法を臨床医療に具体的に役立てる手段は今のところ確立されていない.その主な理由として,モーションキャプチャー等,外部センサーによる人間の各関節にかかるトルクの測定が非常に困難であること,臨床医療に応用できる人間の生体力学的モデルが確立されていないこと等が挙げられる.とりわけ高齢者・非健常者の歩行データの測定は困難であり,またこれらを福祉・リハビリテーション機器開発にフィードバックすることは難しい.
しかしながら,ロボットはそれ自身がセンサーの集合体であり,歩行にかかわる様々なデータを取得することは人間に比べ非常に容易であり,実験の再現性も非常に高い.また現代において人間を傷つける実験を行ってはならないが,ロボットの場合は特定の関節トルクを意図的に弱める等で,同じ機械モデルで健常歩行・非健常歩行のシミュレーションを行うことが出来た.このようにヒューマノイドロボットが人間のための実験台になることは,倫理的側面から見ても非常に画期的である.これによって,各種医療福祉・リハビリテーション機器開発に多いに貢献できたと考えられる.