表題番号:2005B-163 日付:2008/03/14
研究課題ライフサイクルメンテナンス計画システムの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 高田 祥三
研究成果概要
 グローバル生産環境における競争力の強化,循環型社会の実現に向けた資源活用などの面から,生産設備の効率的な運用のためのメンテナンス技術の高度化は,ますます重要な課題になっている.一方,熟練技術者の不足,容赦のないコスト低減要求から,メンテナンス活動の質の低下が問題となっている.一方で非効率的なメンテナンス作業を放置しながら,他方で重要性の高いメンテナンス作業を省略した結果,故障や事故を引き起こすといった事例が後を絶たない.このような状況をもたらしている原因は,メンテナンス方式を合理的に決定するための実用的な手法が未だ確立していないことにあると考えられる.
 このような背景の下で,本研究では,これまで検討してきた劣化・故障予測技術,劣化知識管理技術および設備モデルなどの研究を基に,実用性の高いメンテナンス計画手法を確立することを目指した.まず,設備に生じる劣化・故障特性や適用可能なメンテナンス技術などに関する技術的評価と,設備故障の重要度などに関する管理的評価を統合してメンテナンス方式の決定をおこなう手順を提案した.特に,重要度評価に関しては,AHPに基づく評価項目の選択と重み付けの方法を開発した.
 さらに,メンテナンス計画を合理的に行おうとすると,設備の劣化・故障に関する網羅的な解析が必要となり作業量が多くなるという問題を解決するために,劣化故障解析を支援するツールを検討した.その結果,部品接続グラフを解析することで,運動伝達機能に関して,故障の伝播経路を自動探索するアルゴリズムを開発した.また,それに基づく支援ツールを作成し,それをミシンの機構に適用し,その有効性を確認した.