表題番号:2005B-148 日付:2007/03/23
研究課題エコマテリアルとしての土壁構法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小松 幸夫
(連携研究者) 理工学術院 助教授 輿石 直幸
研究成果概要
木舞土壁の地震時の耐力は、主に柱・梁および貫で構成される木造軸組の強度・剛性、ならびに木舞下地(竹の格子)の仕様に依存する。一方、木舞下地に塗付けられた壁土は、土壁の初期剛性を高めることに対してはあまり効果が期待できないものの、地震等による
大変形時には水平荷重に対する抵抗要素として機能し、土壁に靭性を賦与すると考えられる。現に、実大土壁パネルの水平せん断加力試験では、軸組や木舞下地の仕様がほぼ同様であっても、使用する壁土の種類(産地)および壁土の層構成(荒壁、中塗りなど)に
よって、土壁の破壊性状が異なり、耐力および靭性が著しく異なることが確かめられている。しかしながら、塗付けられた壁土の強度については、材料学的な検討がほとんどなされておらず、壁土の強度に対する影響因子は明らかになっていないのが現状である。
本研究では、壁土の圧縮強度に影響を及ぼす要因を明らかにするため、京都産の荒壁用原土を用いて地盤工学会の土質試験方法に準じた試験をいくつか行った。まず、「突固めによる土の締固め試験」を行い、荒壁原土の基本物性を把握するための締固め曲線(突固め
時の含水比と突固め後の炉乾燥密度の関係)を求めた。次に、「安定処理土の静的締固めによる供試体作製」方法に準じ、成形時の含水比(7水準)および締固めの度合い(3~5水準)を実験要因として一軸圧縮試験用の試験片を作製した。その際、締固め装置のプ
ランジャーの変位と加圧力の関係を測定して締固めエネルギーを算出し、先の突固めによる締固めエネルギーとの関係を考察した。また、一軸圧縮強度試験では、試験時の含水比(5水準)を実験要因として一軸圧縮強度試験を行い、密度および試験時の含水比が一軸
圧縮強度に及ぼす影響を確かめた。今後は、密度と圧縮強度の関係から施工された壁土の圧縮強度を推定する方法と、壁土の圧縮強度を向上させる方法を検討する予定である。