表題番号:2005B-147 日付:2006/03/23
研究課題ユビキタス社会を支えるイメージサイエンスとしての劣化像ブラインド回復
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 小松 進一
研究成果概要
 インターネットや携帯電話などの通信ネットワーク,固体撮像素子や液晶パネルなどの画像記録・表示デバイス,それにコンピュータが融合したユビキタス社会において,日常生活にデジタル画像が浸透する度合いは,ますます広くかつ深くなっており,それとともにロバストな画像復元技術の必要性も増している。
 本特定課題では,このようなユビキタス社会で求められるロバストな画像復元法の一つとして,連続分割法を用いたブラインド回復手法について研究を行った。
 はじめに,携帯電話付属の撮像素子で撮影したシフトバリアントな劣化像,すなわち,劣化関数が場所によって大きく異なるような劣化像に対して,ブラインドな画像回復を試みた。本研究では,劣化像のサポート領域を連続的にセグメント化し,各々の領域内では劣化関数が同一と見なして回復を行う連続分割法を用いた。また,セグメント化された画像情報のウィンドウ処理には,我々が提案した動的マスク法を用いた。これまではシミュレーションを中心に研究を行ってきたが,本研究においては,エネルギー関数の最適化とニューラルネットワークを用いた劣化関数の推定手法の導入によって,携帯電話付属の撮像素子という安価で,大型のデジタルカメラ等に比べると撮像性能もそれほど高くないデバイスを用いて撮影した実画像に対し,実時間でブラインド回復することに成功した。
 また,比較的単純なモジュールを用いてプログラミング可能であり,PERL等のCGIプログラムでもコーディングできるため,現在は数値データの直接入力によって画像を回復している段階であるが,今後はJPEGファイルを数値ファイルに展開するモジュールを用いることにより,携帯電話から直接インターネット上にあるサーバーにアクセスしてデータファイルを送信し,回復処理された画像を受信することも比較的容易に行えるものと期待される。