表題番号:2005B-139 日付:2006/04/21
研究課題コスト最小化を考慮した再生資源リサイクルシステムモデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大野 高裕
研究成果概要
循環型社会の実現は現代社会の重要な課題のひとつである.その実現には循環型生産システムの構築が必要であるが,このシステムが円滑に機能するためには消費者の資源回収行動,再資源化商品の使用と循環型生産システムの経済性が不可欠である.そこで本研究では回収率向上のための方策を整理したうえでそれらに係るコストと回収行動に与える影響を定量的に把握する.ここで回収行動に影響を与える要因はさまざま存在すると考えられるが,本研究では回収率向上対策実施の際にはその制御可能性の考慮が重要であるため,制御可能性のある要因を取り扱うこととする.また本研究ではアンケート調査を行い提案する回収行動モデルの有効性を検証した.次に回収率向上対策に関する社会的コスト最小化モデルの構築を行った.すなわち本研究では,回収ステーションとして海外で多用されているRVM(Reverse Vending Machine)の利用を想定したシミュレーションを行った.また社会的コストとしては回収ステーションに係る運営費用,回収ステーション設置数に依存して消費者の不便さが決定されるとし,この不便さを金額換算したコスト,そしてエコマネー地方公共団体の負担額をコストとして捉え,RVM導入により得られる運搬効率の向上等の経済的メリットをも考慮するしている.その上でこの社会的コストを最小にするエコマネーの発行率を算出した.また回収率向上対策を実施する際,あらかじめ目標とする回収率を設定する場合が通常と考えられるが,要する社会的コストによりその目標値の変更を行うことも考えられる.そこで目標とする回収率とエコマネー発行率との感度分析を行うことにより,本提案モデル利用者にとって実用性の高い成果を得た.