表題番号:2005B-129 日付:2006/03/05
研究課題不動産デリバティブズ市場と空間金融工学的アプローチに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 教授 川口 有一郎
研究成果概要
不動産デリバティブには不動産指数デリバティブと不動産指数によらないデリバティブがある。本研究では不動産デリバティブ市場の現状を明らかにしまた今後の展望を示した。特に、不動産デリバティブの取引が活性化するための条件は次の通り。①リスクテイカーにとって、不動産デリバティブをヘッジすることができ、適切なリスク管理が可能である。②不動産デリバティブ取引の双方にとってフェアな取引価格を見積もることができる。これらのことから不動産デリバティブのヘッジとプライシング手法に関する研究へのニーズが高いことを示した。これを受けて、従来からあるデリバティブのヘッジとプライシングの手法はそのまま利用可能であるか?不動産デリバティブの特異性はどこにあって、それをどのように反映してヘッジとプライシングを行えば良いか?これらの問いに答えるたけに、本研究では、不動産指数デリバティブのうち不動産スワップをとりあげ、空間金融工学的なアプローチにより、その価格評価とヘッジングの具体的な方法を提案しその有効性を示した。そこでは、不動産指数デリバティブのヘッジ戦略とプライシングは市場の非完備生を考慮したモデル化が必要であるという観点から、非完備市場におけるマルチンゲールアプローチを用いて不動産スワップのヘッジ戦略とプライシングの方法を作成した。また、不動産指数を用いないデリバティブとしては、日本版不動産投資信託を実物不動産の価値の上に書いたデリバティブとみなしてその理論価格および予測価格を計算する方法を提案しその有効性を示した。そこでは、REIT価格評価問題は、観測可能な情報から、観測不能な状態変数を推定するというIncomplete Information のもとでのフィルタリング問題としてモデル化している。