表題番号:2005B-092 日付:2006/03/24
研究課題文化的前提の相違がニュースディスコースの解釈に与える影響-異文化理解の視点より-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 村田 久美子
研究成果概要
この研究では、特にニュースデイスコース分析の理論的枠組みの強化と文化的前提の相違がニュースデイスコースの解釈に与える影響の解明に努めた。この視点は、研究者のイデオロギーに基づいた、恣意的な言語分析を中心としてテキスト分析をする従来の批判的談話分析(CDA)の視点にはかけていたものである。研究では解釈のメカニズムを明らかにするために文献調査による理解を深めると同時に、読者が実際にどのように解釈しているかの視点を導入することの必要性を挙げている海外研究協力者のHenry Widdowson氏や、読者によるテキスト解釈の過程を認知言語学的視点やコーパス言語学的視点を取り入れ、より客観的に進めようと試みている同じく海外研究協力者のKieran O’Halloran氏を招聘、国内研究協力者の矢野安剛氏、Alison Stewart氏や、国内でCDA的視点を取り入れながら研究を行っている研究者2名も招聘、2005年11月中旬にシンポジウムを開き、集中的に意見交換をし、より統合的なニュースデイスコースの分析の枠組みの構築へ向け、議論を深めることができた。また、この期間にシンポジウム以外でも今後の調査の計画、課題についての打ち合わせも何回か行い、次年度以降の研究の準備をすると同時に、研究協力体制を強化した。
 個人発表としては文化的前提の違いが解釈に及ぼす影響について、7月のイタリアでの国際語用論学会で、また、これを更に発展させて、11月の北京でのアジアTEFL国際学会で、それぞれ研究発表をした。これらに関する論文は現在、国際学術雑誌に投稿すべく、準備中である。また、文献研究の一環として2005年春にはメデイアデイスコースに関する本の書評を、11月には遺伝子組み換え技術に関するメデイアデイスコース分析の本の書評を、それぞれ国際学術誌に発表した。