表題番号:2005B-071 日付:2006/03/10
研究課題完全非線形楕円型方程式の主固有値に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教授 石井 仁司
研究成果概要
P.-L. Lions による論文,Bifurcation and optimal stochastic control, Nonlinear Analysis, Vol. 7, 1983年,pp. 177-207,において得られた非線形2階楕円型方程式に対する主固有値問題に関する結果を考察し,この論文における主要な証明の方法である確率制御の方法を通常の偏微分方程式理論の解析的な方法に置き換える可能性を第一に探った.さらに,その結果を確率制御の方法では扱えないアイザックス型の非線形2階楕円型方程式に応用することを研究した.このために,一般の非線形2階楕円型方程式に対する強最大値原理の確立,H. IshiiとP.-L. Lions の論文,Viscosity solutions of fully nonlinear second-order elliptic differential equations, J. Differential Equations, 83巻,1990年,pp. 26-78,で得られている解のヘルダー連続性の評価の精密化,方程式の未知関数への単調依存性がない場合の連続な解の存在定理の確立を行った.これらの結果を応用して,半固有値の存在を証明し,その性質を研究した.特に,半固有値に対する固有関数の存在の確立,半固有値と正値解の一意性との関係の確立,解の一意性とそれを保障する半固有値の定義とその存在の確立などを行った.