表題番号:2005B-059
日付:2006/11/06
研究課題文化産業のグローバル/ローカル化戦略と社会変動に関する国際比較研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 | 助教授 | 土屋 淳二 |
- 研究成果概要
- 本研究では,「文化産業のグローバル/ローカル化戦略と社会変動に関する国際比較」を課題に,国際社会のグローバル化情況のもとで,従来の近代化論や産業化論を基礎とする社会変動論や表層文化論をミクロ社会学(シンボリック相互作用論)の視座と枠組みにおいて捉え直す理論的作業である.社会変動に関するマクロ社会学的視座においては,世界システムでの文化のグローバル化とローカル化の対抗図式を越えた多元的文化主義の観点から両者の相互浸透による複合的文化の構築可能性を模索する試みが続けられているが,文化変動プロセスのミクロ的位相の解明は,いまなお社会学的文化研究で大きな課題となっている.国際社会における文化変動と多元文化(文化多元主義)のあり方を見据えたマクロ理論をミクロ社会学的視点によって補完しなければならない.本研究は,集合行動に関する先行研究(平成13年度科学研究費補助金・奨励研究(A)課題番号:1371019;平成14年度科学研究費補助金・若手研究(B)課題番号:13710129)を踏まえながら,新たな社会変動モデルと分析方法の検討を加え,その作業過程で文化変動の推進力となる「流行現象」に研究対象を絞り,当該事象に関する理論的概念の精緻化とモデル整備を進めてきた.また本研究では,2001年度より継続的に展開しているイタリアの関係学術機関との共同研究体制のもと,国際比較調査の必要性から調査フィールド(イタリア・ミラノ市およびローマ市)にて表象文化と社会変動の相関関係を具体的に明らかにすべく実証的な検証作業を着手した.2005年度において本研究は,流行現象の社会学理論の新たな視角を提起し,今後の実証研究に要請される分析フレームを精緻化することで大きな成果をみた.