表題番号:2005B-053 日付:2013/05/15
研究課題近代政治史における政治的賢慮概念の展開-アングローサクソンと大陸ヨーロッパ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 松園 伸
研究成果概要
標題である「近代政治史における政治的賢慮概念の展開-アングローサクソンと大陸ヨーロッパ」は、主に欧米の近代政治(思想)史や政治理論を専攻する飯島昇藏(政治経済学部、政治的賢慮概念のアメリカ合衆国の政治、政治理論への浸透・展開)、仲内英三(同、近世、近代ドイツにおける政治的賢慮概念)、谷澤正嗣(同、政治的賢慮概念と現代の政治理論)、松園伸(文学部、近世以降のイングランドにおける政治的賢慮概念の変遷)、厚見恵一郎(社会科学部、イタリア、マキャヴェリなどにみる政治的賢慮概念)のそれぞれの方面で研究を深化させられたと信じる。その意味で3月に特定課題を資金の一部にしてWilliam A. Speck 英国リーズ大学名誉教授、元英国歴史学協会Historical Association会長を招聘することができたのはきわめて幸運なことであったと言わねばならない。スペック氏は求めに応じ、「バークからディズレーリまでのイギリス保守主義」(British Conservatism from Buruke to Beaconsfield)の題目で1時間のレクチャーを行ない、この講演自体われわれの関心の中心である政治的賢慮概念と深く関わるものであった。またスペック教授とはこのテーマに関して頻繁にわれわれと意見交換を行なっており、かれのヨーロッパ史全体についての深い理解は、われわれの共同研究についてもこれを大きく進めたと言えるだろう。今後は個別の研究を進めるとともに、政治的賢慮概念をキーワードとして共同研究に立脚した著作・論集を上梓したい。そして一般にわが国においてはなじみの薄い「政治的賢慮」概念に新しい光を当てることができれば、その学問的な効果はきわめて大きいであろう。