表題番号:2005B-024 日付:2006/03/25
研究課題近代ドイツにおける舞台芸術のパラダイム転換に関する総合演劇学的アプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 丸本 隆
研究成果概要
 本研究者は以前より、近代ヨーロッパにおける舞台芸術のパラダイム転換の重要な契機の一つをなす、18世紀ドイツの演劇/舞台芸術改革に関する総合演劇学的な研究に取り組んできた。2005年度の本研究においては、その流れに沿い、前年度のジングシュピール研究に関する成果を踏まえつつ、さらにオペラ/音楽劇の領域全体に対象を広げて、18世紀ドイツにおけるそれらの状況の歴史的・社会学的考察を通じてこのテーマにおける研究の深化を試みた。とりわけ集中的に行ったのは、18世紀後半に大胆に展開された演劇/舞台芸術改革の動きに焦点を定め、その意義を問い直す試みであった。
本研究者はこの間、日本国内およびドイツで資料の収集を行い、その解読・分析を進め、その結果をデジタル化し整理する作業と同時に、現在進行中の演劇博物館21世紀COE事業「演劇の総合的研究と演劇学の確立」への事業推進担当者としての参加および「オペラ/音楽劇の演劇学的アプローチ」プロジェクトの主催、さらには出版事業への参加と論文の寄稿(3件)、学会での研究発表(2件)(詳細は「研究者データベース」参照)を通じた、本研究の中間報告的な成果公表、多くの研究者との交流を積極的に活用しつつ、本研究の内容を深めてきた。それらの中でもとりわけ、毎月2度のペースで開催されたCOEのプロジェクト研究会においては、外来講師やプロジェクト参加者による研究発表を通じて、特に音楽と演劇の関わりについて多くを学ぶことができた。また2005年12月に、「市民文化の構造転換 -18世紀から19世紀へ-」という統一テーマを掲げて開催された「早稲田大学西洋史研究会第47回大会」のシンポジウムでの、「ドイツの劇場文化とその担い手をめぐって」と題して行った発表においては、その準備過程での資料解読や原稿作成作業そのものが、そしてまた専門を異にする研究者とのさまざまな議論を通じて得られた新鮮な刺激が、本研究の大いなる推進力となった。