表題番号:2005B-019 日付:2006/04/01
研究課題変容する企業組織・労働市場と<労働世界>における法創造の課題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 教授 島田 陽一
研究成果概要
早稲田大学21世紀COE《企業法制と法創造》総合研究所の労働法研究グループによる本研究は,このCOEにおいて,同名のタイトルで継続している共同研究の一環として,特定課題に基づいて研究を行った。研究の第一の柱は,労働法における企業概念の再構築という課題である。この課題については,公開研究会およびシンポジュウムを開催し,商法学との対話も行った。具体的には,島田陽一が「CSR(企業の社会的責任)と労働法」を,石田眞が「コーポレート・ガバナンスと労働法」という最近のテーマに取り組み,それぞれ論文にまとめ,COE研究所の紀要である「季刊企業と法創造」7号に掲載した(2006年3月中に発刊予定)。これらの論文においては,CSRおよびコーポレイト・ガバナンスという企業をめぐる議論をどのように労働法学の中に位置づけることが可能かが検討されている。研究の第二の柱は,ワークライフ・バランスのテーマである。このテーマは,浅倉むつ子が中心となり研究に取り組んできたが,2回の研究会を開催し,その成果は,労働法律旬報誌1609号(2005.10)に掲載されている。この研究では,現代日本における育児支援策について,過度に少子化対策としての側面が強調されており,ジェンダー的な視点から問題をはらむことが指摘され,あるべき育児支援策が模索されている。第三の研究の柱は,労働法制の立法的な動向についての批判的な検討である。具体的には,1回の研究会を開催し,労働契約法制の立法提案の検討を行った。この研究において,島田は,「労働契約法制の適用範囲」をめぐる問題を,石田は,「日本における労働契約法制の歴史的検討」を行った。その研究成果は,労働法律旬報誌1615・⒗号(2006.1)に掲載されている。これらの論文は,今後の労働法制の在り方という視点から,現在の労働契約法制の意義と問題点を指摘している。