表題番号:2005B-016 日付:2006/03/05
研究課題NPMと公務員倫理の関係についての実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 山田 治徳
研究成果概要
行政に市場原理の活用を行うNPMにおいては、私的利益の追求はインセンティブとして位置づけられており、国内外多くの公共部門でこれを活用した制度改革が進められてきている。しかし、行政における私的利益の是認に対しては、職員倫理の低下や収賄や横領などによる職員個人の私的利益の追求、すなわち汚職犯罪の増加につながりかねない危険性も指摘されている。わが国自治体の多くでも近年NPM理論に基づく改革が進められてきているが、果たしてこのようなNPMの二面性については、どのように認識され、どのような対応が行われてきたのだろうか。またNPMによって行動原理の転換を求められている一般職員はこの問題に対してどのように意識しているだろうか。
本研究ではこのような問題意識に基づき、NPM型改革を公務員倫理との間で対応させながら分析を行うこととし、本年度においては、国内複数の自治体職員に対し、NPM理論に基づく改革への取組みと、公務員倫理への対応についての実態調査および意識調査を行った。来年度も引き続き実態調査を行い、NPMの二面性に対する認識、そしてNPM型改革の導入状況と職員倫理に対する対応状況の比較を行うともに、NPM改革と職員倫理の関係についての実証的データの収集を行うこととする。そしてNPM型改革を導入するに際して、NPMの二面性に対する認識は存在したか、またどのように配慮したうえで如何なる制度設計を行ったのか、さらにはNPM型改革の導入に伴う職員行動の変化、とりわけ倫理に対する意識変化などについて明らかにしていく。