表題番号:2005B-015 日付:2006/03/28
研究課題ローカル・マニフェスト評価モデルの確立
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 北川 正恭
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 石田光義
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 江上能義
(連携研究者) 社会科学総合学術院 教授 岡沢憲芙
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 片木淳
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 小林麻理
(連携研究者) 政治経済学術院 客員教授(専任扱い) 筑紫哲也
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 塚本壽雄
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 藤井浩司
(連携研究者) 理工学術院 教授 棟近雅彦
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 山田治徳
(連携研究者) 政治経済学術院 教授 寄本勝美
研究成果概要
 2003年統一地方選挙から2年が経過した2005年は、4年間のマニフェスト・サイクルの折り返し地点にあたる。そこで、本研究は、ローカル・マニフェストの中間評価モデルの確立を目的とした。
 わが国におけるマニフェストの歴史はまだ始まったばかりであり、全国各地で様々な試みがなされている。しかし、こうした流れをふまえた上での、マニフェストを対象とした研究成果はほとんどみられず、理論が現実から大きく離されている。そこで、本研究では、これまでの全国各地の最新動向についての資料を収集しながら、マニフェスト先進自治体といわれる岩手県、埼玉県、神奈川県、福井県、佐賀県知事のマニフェストを対象とし、ローカル・マニフェストの評価手法の確立を検討した。
 評価手法としては、これまでの行政評価の手法などを参考に、いくつかのものが考えられるが、中間評価モデルである以上、マニフェストがもたらした成果にまで踏み込んで検討することは困難である。したがって、本評価モデルでは、「外部からの検証可能性」に焦点を当てた。これは、マニフェストは、住民との契約である以上、適切な情報提供が必用不可欠であり、そのことによってマニフェストサイクルがを動いていくからである。また、その際には、全国の様々な評価事例と比較しながら、個別評価ではなく、共通の評価手法となるよう心がけた。
 本研究で確立した評価手法では、①情報の適切性、②情報内容の適切性を重視し、5県知事のマニフェストを評価を行った。その結果、マニフェスト先進自治体といわれるだけあり、マニフェストを県行政へ落とし込み、それを実行しようと得る取り組みには、遜色がなく、高い評価結果となった。その結果、マニフェストは、従来型の「選挙までの公約」とは明らかに異なり、次の選挙までに、マニフェストサイクルを回すことによって、選挙で掲げた政策を継続して実行すること、それによってこれまでの縦割りの行政構造からマネジメント型の行政構造へと大きく変化していることもあわせて明らかになった。ただし、②の情報内容については、不十分な点が多く、今後の要検討課題であることが明らかになった。
 次年度以降の課題としては、本研究で確立した評価モデルを他方自治体にもあてはめるとどういった評価結果が出るのか、マニフェストサイクルの完結に向けた評価手法はどういったものになるのか、という点があげられる。マニフェストサイクルの完結となる2007年4月までの継続的研究が必要である。