表題番号:2005B-009 日付:2006/04/12
研究課題マルチ型メディア人岸田吟香の書誌作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 山本 武利
研究成果概要
長期的には岸田の『海外新聞』、『横浜新報もしほ草』、『金川日誌』、『東京日日新聞』その他の新聞での彼の署名、無署名の記事を収集する。また『東京日日新聞』の編集人でありながら、紙面で自家の商品の効用を吹聴する記事、投書を書いていた。このパブリシティー(提灯)記事にも注目したい。『
 そこでこの1年間、海外新聞』など最初の3紙は復刻版が刊行されているので、それを古本市場で入手した。一番分量が多いのは1873年(明治6)から主筆として入社し、1982年まで在社した『東京日日新聞』である。アルバイトを使って、同紙での連載記事、単独記事、投書などを丹念に探索した。しかし時間と予算不足で1873年分までしか作業が進まなかった。
 その際、目薬「精き水」とその製造販売元楽善堂の『東京日日新聞』での広告、無料配布新聞『広告日表』『広告日報』の記事、各紙掲載の広告を少数ながら収集できた。岸田はニュースを織り交ぜた時事的な広告を自ら書き、各紙に掲載した広告主兼コピーライターとして有名である。『東京日日新聞』以外でも多数の新聞に広告を出したが、他紙の数は膨大になるため、今回は試験的な1873年の同紙探索に終始せざるを得なかった。
 今回は本格的な調査のためのステップにすぎないが、それなりに目標達成の展望を拓くことが出来たと思う。