表題番号:2005B-006 日付:2006/03/27
研究課題地域を単位とした農業の多面的機能の把握と経済計算
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 堀口 健治
研究成果概要
①評価方法:ヘドニック法の問題点としては、理論的条件と統計的条件が挙げられる。理論的条件としては、キャピタルゼーション仮説の基本的前提自体が問題となる。そこでは移動コストがゼロである社会における均衡状態を想定しているが、実際には土地利用規制など公的規制により移動は制限されうるうえに、商業地・住宅地といった用途規制により選択も制約されうる。
統計的問題としては、地価の選択、推定式の特定化そしてデータの集計レベルが上げられる。
地価は一物百価ともいわれるが、ヘドニック法では地価に利回りを乗じることによって理論地代を求め、この地代を回帰することによって環境要因の地価への影響を検証する。この際に、公示地価、路線価など、どの地価データを利用するかが問題となる。
そして、ヘドニック回帰式の推定の際には、説明変数としてどのような要因を含めるか、どのような特定化を行うのかにより推定結果は大きく異なる。多くのヘドニック回帰式において、説明変数として選択されるのは、自治体レベルの集計データでは、農林地面積、人口規模、さまざまな社会インフラの整備水準、財政状況などである。どれをモデルに組み入れるかは事前に理論的に選択できるわけではない。このうえ、重要と思われる変数の利用が困難であることもありうる。このため利用可能なできる限り多くの土地属性に影響を与える変数を含めたモデルを推定しがちであるが、その場合には、多重共線性の問題が発生しやすくなる。近隣環境の良好な地域では,優れた公共施設や社会資本を持つ傾向がありうるため、特性間の相関が非常に高い場合が多い。このように多重共線性が深刻な場合には主成分分析などにより対応する必要がある。

②山梨県道志村と神奈川県横浜市:具体的には両自治体の明治以来の関係を明らかにし、そこでの具体的な横浜市による支援の歴史を検討した。まだ歴史的な検討であり、①の推定方法の適用については、入り口に立ったばかりであるが、これを更に充実すべく、文科省科研費等に応募し、更なる研究の継続を予定している。