表題番号:2005B-002 日付:2006/11/16
研究課題ドレフュス事件と詩人たち-サンボリズムの政治的変容について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 教授 岡山 茂
研究成果概要
「ドレフュス事件とサンボリスムの詩人たち」というテーマは、マラルメ以降のサンボリストたちの「政治的変容」を追いかけるという大きなテーマのうちの一つを構成している。その大きなテーマのなかでは、一人一人のサンボリストの生まれた環境(どこで生まれどこで死んだか、どのような家庭に生まれたか、父親の職業は何か)、どのような教育を受けたか(中等教育、高等教育)を調べ、さらに1898年のドレフュス事件、1905年の政教分離、1914年からの第1次世界大戦のときの彼らの言動を知ることが目的となっている。つまり、それらの作業が済んで初めてサンボリストたちの「政治的変容」における共通した特徴も見えてくるし、それについて語ることもできるようになるわけである。今年度の特定課題による研究においては、パリに2週間滞在してフランス国立図書館で資料を収集したが、ベルギー出身のサンボリストたちとコンドルセ中学の同窓のサンボリストについてとりわけ多くの情報を集めることができた。また研究のテーマとの直接の関係はないが、この滞在のあいだにアレゼール(研究と高等教育の現在を考える会)のコロックが高等師範学校で開催された。これはアレゼールとしては第2回目のコロックであり、ヨーロッパ各国からの参加者によってEU統合のなかでのそれぞれの国の大学事情が語られていた。私はトゥールーズ大学の日本文学研究者クリスチャン・ガラン氏と意見を交わし、コロックの報告書に文章を書くことになった。またアレゼールの会長であるクリストフ・シャルル氏からは私の研究テーマに関しての助言もうることができた。とりわけ『パリのツアラトストラ』という、サンボリストへのニーチェの影響を語っている研究の存在を教えてもらったことは貴重であった。2006年4月からの在外研究においては、パリ第1大学でのシャルル氏のゼミに出席しながらサンボリスト研究を続けるつもりである。