表題番号:2005A-932 日付:2008/09/22
研究課題閉経後中高年水泳愛好者の身体各部の組成と基礎代謝との関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 助手 薄井 澄誉子
研究成果概要
1日のエネルギー消費量の60~80%を占める基礎代謝量 (BMR)は、様々な形態学的・生理学的な要因に影響を受ける。閉経後女性において、定期的な水泳運動が内臓および骨格筋のような除脂肪量(FFM)と関係のあるBMRの増加を引き起こすかどうかは明らかではない。本研究は、50-75歳の52名の閉経後女性の水泳愛好者におけるBMRおよび身体組成の関係を横断的に検討することを目的とし、水泳運動を良くやっている群(WT)とそうでない群(LT)の2つの群において比較検討した。
体重および身体組成は、DXA法によって測定し、軟除脂肪組織量(SLTM)はFFMから骨量を除いた値を用いた。最大下酸素摂取量(VO2peak)は、トレッドミルを用い漸増負荷法により測定した。BMRは早朝空腹時に30分以上の仰臥位安静後、ダグラスバッグ法により10分間の呼気を2回採取し、質量分析計によって呼気を分析しBMRを求めた。
LT群(n=24,年齢63.3±5.9歳,身長154.3±5.6cm,体重56.5±4.9kg,%fat 31.6±4.2%)とWT群(n=28,61.3±5.9歳,154.2±5.7cm,54.2±6.7kg,28.4±4.6%)において年齢、身長、体重および閉経経過年数に有意な差はなかった。VO2peak は、LT群と比べWT群において有意に高かった。全身の脂肪量(FM)は、LT群よりもWT群において有意に低かった。頭部及び体幹のFMにおいては2群間で相違はなかったが、四肢のFMにおいてはLT群よりもWT群において有意に低かった。しかしながら、2群間の全身および身体各部のSLTMに有意な相違はなかった。BMRにおいて2群間の相違は認められなかった。BMRに対する身体組成を独立変数にしたステップワイズ重回帰分析の結果、頭部及び体幹のSLTMがBMRの有意な独立変数であった。
本研究の結果から、閉経後女性の長期間の定期的な水泳運動はFMを低下させ、また、呼吸循環器系能力を上昇させたが、しかしながらBMRに関連するSLTMの大きな増加を引き起こさないことも示唆された。