表題番号:2005A-914 日付:2006/03/25
研究課題映画に見られる対立の場面とその対処方法の文化比較
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 助教授 花光 里香
研究成果概要
 2005年6月から7月にかけて、すでに所有している映画を対立に焦点を当てて見直し、教材として使用可能と思われるものを選択した。文化的比較を試みるため、欧米の映画と日本を含むアジアの映画の中から同じような対立の場面を探し出しクリップ集を作成した。
 本研究助成費により可能になった最も大きな研究活動は、アメリカ・オレゴン州でSummer Institute of Intercultural Communicationに参加し、本研究を発展させることであった。しかし、映画を使った異文化コミュニケーション研究の第一人者であるEllen Summerfield博士によるワークショップが、博士の都合によりキャンセルされた。そのため、8月1日から5日間別のワークショップに参加した後、8月8日から3日間博士に個人的にお会いし本研究への示唆をいただいた。日本から持参したクリップ集を見ながら対話を重ね、分析対象外だった映画や日本未公開の映画をご紹介いただき資料収集を行った。
 帰国後、本研究助成費で購入した世界対応型DVDプレーヤーを使用し、アメリカで購入した映画を対立の視点から分析した。渡米前に作成したクリップ集を再編集し、実際の教育現場でのテストに向けて準備を進めた。
 12月、「異文化コミュニケーション論」の授業でクリップ集の一部を使用した。テーマは「言語・非言語コミュニケーション」で、学生にビデオを見せた後異文化間のコミュニケーションスタイルを比較してもらった。場面はいずれも夫婦の離婚のシーンで日米の映画を取り上げ、アメリカ映画は白人とアフリカ系アメリカ人が登場するものを用い、多様なアメリカ社会に注意を払った。日本映画は、典型的な日本人らしいシーンとそうではないシーンを用意し、「ステレオタイプと一般論」へテーマを進めた。
 2005年3月にかけては、学生の意見を反映させながらクリップ集を再編集し、学習効果を高めるクリップの見せ方などをまとめた。
 今後の課題としては、1)同じような対立の場面ごとに編集したクリップ集を映像資料として増やしていくこと、2)外国の文化だけを異文化として扱うのではなく、地域差、ジェンダーや世代の違いなどに焦点をあててクリップ集を作成すること、3)「異文化コミュニケーション論」の授業でテーマ別に使用できる映像資料を作成すること、などが考えられる。