表題番号:2005A-875 日付:2006/02/13
研究課題遺伝子 haplotype 推定アルゴリズムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 専任講師 井上 真郷
研究成果概要
 複数の遺伝母集団が想定される場合に,SNPデータからhaplotype推定を行う手法をEMアルゴリズムに基づいて構成した.
 近年,黒人のみに処方可能な薬剤といった人種依存薬が開発されている.一般に投薬対象を限定すれば効果や副作用がより明確に分かるため,投薬対象限定により,従来捨てられてきた薬剤候補が復活する可能性や,今後の薬剤開発において開発が成功する確率が高くなると思われる.しかし,人種は社会的に分かり易い区分であるが,混血の場合など難しい場合もある.薬剤の効能・副作用という観点からは,薬剤のターゲット・代謝等に関わる諸遺伝子のhaplotypeによって,適用を区分する方が理にかなっていると思われる.従来,一塩基多型(SNP)データからターゲット遺伝子のhaplotypeを推定する際に,人種の違いのような複数の遺伝母集団を仮定して推定する手法がなかったため,これを行う一手法をEMアルゴリズムに基づいて構成した.また,計算課程で近似を用いることで必要メモリ量を少なくした.複数遺伝子座での人工的SNPデータに対して本手法を適用したところ,正しくdiplotype及び起源遺伝母集団を推定した.本手法は遺伝子座数が20~30を超えると計算量爆発により計算しきれなくなるため,今後この点を改善する手法が求められる.また,交差の可能性を考慮していないため,この点についても同様である.