表題番号:2005A-505 日付:2007/03/25
研究課題高精度マイクロ化学システム構築のための電気化学ナノファブリケーションプロセス
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 本間 敬之
研究成果概要
本研究は,電気化学的手法によるナノ加工プロセス,特に位置選択的Si電解エッチングによる微細孔配列形成と金属析出形成を中心に,反応プロセスの詳細な解析を進めながら,それらのナノ容量ガラスセルアレイ形成および機能金属ナノ構造体形成への応用,およびマイクロリアクターへの応用,などの検討を行い,精密に制御可能な電気化学ナノプロセスの設計指針を確立すると共に,これを応用した各種の新規なシステムの構築へと展開することを目的とした.
まず,申請者が開発した, Siウェハに位置選択的に微細孔アレイを形成する光照射援用陽極化成プロセスにおいて,より高い精度での微細孔形成を実現するため,照射光の波長・照度,ウェハ厚・比抵抗,表面開口部の径・形状・間隔などについて系統的検討を行った.その結果,光照射条件の制御により,初期開口径に対し,1/1~1/5程度の範囲で形成される孔のサイズを制御可能であることを見出した.また,このプロセスに表面酸化(ガラス化)と選択的エッチングを組み合わせ,高精度でナノ容量ガラスチューブアレイを形成するプロセスを確立すると共に,形成されたガラスチューブアレイに非線形拡散を利用したエッチングプロセスを適用することにより,個々のチューブの先端にnmの精度で均一な径の貫通孔を形成するプロセスを開発した.さらにこのプロセスを用いて形成されたナノノズルのアレイから微小径の還元性ガス気泡(ナノバブル)を吐出させ,液相中の金属イオンの還元析出反応によるナノ粒子合成のためのリアクターシステムを構築した.
一方,複雑な反応系を伴うこのような電気化学反応系を原子レベルから解析するため,上記のように分子種(還元剤)からの電子供給により金属が反応析出する,無電解めっき反応の素過程レベルからの解析とモデル化を進めた.代表的な還元剤や添加剤種の反応機構および作用機構を実験・理論計算両面から解析し,析出金属表面サイトの触媒活性度や添加剤の影響などを定量化したモデルを構築した.これらの成果を基に,今後,種々の精密なナノ構造体形成プロセスおよびそれを利用したシステム形成への展開を進める足がかりを得た.