表題番号:2005A-120 日付:2008/11/18
研究課題生体内における半腱様筋腱再生メカニズムに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 教授 福林 徹
(連携研究者) スポーツ科学学術院 助教授 鳥居 俊
研究成果概要
前十字靱帯再建術施行後の半腱様筋腱の再生度合いに関する臨床的研究は本年度よりスポーツ科学部に設置される1.5T超伝導MRIを使用し、術後2週、4週、8週、12週、24週で行った。再生半腱様筋腱は最初血腫と同様のMRI画像を呈するが徐々にその輝度が筋,腱組織に類似してくることが観察された.今回の術後患者6名を用いた検討では術後1ヶ月~2ヶ月でT2画像上筋組織と同等の輝度を有し,術後3ヶ月~6ヶ月で腱組織と同等の輝度を有した.なお6ヶ月以後はMRI上では輝度の変化は見られなかった.各時期でのT2値の測定を試みたが今回信頼性の高い値を得ることができなかった.なお術後3年以上経過例2例での肉眼,および組織所見では再建靱帯はほぼ正常腱組織をていし,筋腱移行部にも瘢痕形成は見られず肉眼および組織所見上では完全な腱再生がなされていた.
リハビリテーションメニューの差異による再生の差異も検討したが今回は症例が少なく明らかな差異を見つけられなかった.
動物実験は山羊24頭を使用し膝の前十字靱帯再建術を施行したが,その時使用した足指の伸筋腱の再生度合いを術後6週,3ヶ月,1年で検討した.肉眼的には術後6週では摘出した腱の後に血塊の一部と疎生結合織がみられた.組織学的には血管にとんだ組織で肉芽組織と線維芽細胞が多数見られた.まだ線維の配列はなされていなかった.術後3ヶ月では術後6週と同程度にとどまり瘢痕化してくる例と,徐々に線維性配列が見られてくる例が観察された.術後1年経過例では腱摘出部がそのまま瘢痕組織に置き換わり周囲と癒着してしまう例と,癒着しながらも内部に線維性配列が出来て,腱再生の機序が観察される例の2種類に大別された.しかし人に見られる様な完全な再生は観察されなかった.なお現在生化学的分析は進行中でありその結果ついては別途後日報告したい.