表題番号:2005A-098 日付:2006/03/22
研究課題気球実験による宇宙線中の鉄核同位体の観測-気球環境下でのCR-39検出器の性能評価-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 長谷部 信行
研究成果概要
CR-39は放射線照射時の温度や真空度に対する感度応答の依存性が大きいことが知られている。この為、放射線照射時の温度に対する感度応答の変化を調べた。-60℃~+60℃まで10℃刻みに温度コントロールしたチェンバーにCR-39を固定し、放医研のHIMAC重イオン加速器から供給されたFeの110 MeV/nを照射した。この結果、照射時温度が-30℃以下では安定に動作することが明らかになったので、気球高度では安定に宇宙線観測を行うことができることが分かった。更にCR-39の真空度に対する感度応答の変化について調べた。大気雰囲気で圧力を0.1~760Torrまで変化・保持し、Feの424 MeV/nを照射した。気球環境下では高度30km~40kmの間において9Torr~2Torr程度の圧力変化がある。今回の結果によると、9Torrと2Torr間における飛跡生成感度の変化は約30%程度あり、観測環境下では圧力を一定に保つ必要があることが分かった。しかしながら圧力減少に対応して感度応答が高Z/β側にシフトしている可能性があることから、圧力のコントロールによりZ/β検出閾値を任意に変化させてCR-39を使用できる可能性が見出された。