表題番号:2005A-081
日付:2006/11/20
研究課題オキソカルボキシラト架橋ルテニウム多核錯体の合成と性質
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 | 助教授 | 山口 正 |
- 研究成果概要
- [Ru4O2(C2H5COO)7(phen)2](PF6) (phen = phenanthroline)の合成法の改良を行った。反応比等変化させRu四核錯体の合成に最適な条件を検討した結果,C2H5COOH / KOH比を5:1,RuCl3.nH2O / C2H5COOH比を1:15とすることにより若干の収率の向上を図ることができた(収率約5%)。また類似の骨格を有する[Ru4O2(RCOO)7(L)2](PF6) (R=C2H5, L=bypyridine; R=CH3, L=phen; R=CH3, L=bpy; R=CH3, L=dimethybipyridine) についても低収率ながら合成できた。NMRを測定したところ,何れの錯体も常磁性シフトを示したが,-15~30 ppmの範囲に限られており、同様な構造をとる他の金属イオンからなる錯体のシフト範囲に比べ非常に狭くなっていた。これはルテニウムが他の金属イオンと比べ、金属イオン間の相互作用が強く,特に中央部位の二つのルテニウムは金属-金属間結合を有していることが原因と考えられた。この四核錯体が可逆な酸化還元挙動を示したことから,電解電子スペクトル測定を行った。しかし,予想に反して,混合原子価状態におけるIVCTバンドと思われる吸収は見られなかった。
また,上記のphen錯体の合成時に副生する分子量の大きな錯体を単離生成し,予備的なX線構造解析を行ったところ,ルテニウム三核ユニットがオキソイオンにより架橋された六核錯体,[{Ru3O(C2H5CO0)4(μ-phen')2}2(μ2-O)],であることが明らかになった。このRu三核ユニットには通常のN,N'の2座配位と異なりN,N',Cの3座で配位するphen配位子がそれぞれ2個ずつ存在していた。