表題番号:2005A-063 日付:2014/04/10
研究課題非線形放物型方程式の解の漸近挙動
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 大谷 光春
(連携研究者) 理工学術院 教授 北田 韶彦
(連携研究者) 理工学術院 教授 田中 和永
(連携研究者) 理工学術院 助手 松浦 啓
研究成果概要
(i) 優臨界指数増大度の爆発項を有する半線形熱方程式の解の漸近挙動に関する研究は、最近ようやくその端緒についた重要な研究課題である。 領域が球の外部領域の場合の球対称解に対して、安定集合(ここから出発した解は大域解)と爆発集合(ここから出発した解は有限時刻で爆発)が構成された。 
さらに、すべての球対称時間大域解は有界となり、その L∞ノルムは、初期値の L∞ノルムにのみ依存する定数でおさえられることが示された。
この事実は、劣臨界指数増大度の非線形項に対しては良く知られていたが、優臨界指数に対しては、コンパクト性の欠如のため、全く手がつけられていなかったが、ある特別な変数変換を介して、球対称関数に対してはコンパクト性が恢復するという事実によってこの困難を解決した。

(ii) p-Laplace 作用素を主要項に持つ準線形放物型方程式に対する初期値境界値問題に対して全ての解軌道を引き付ける「大域アトラクター」が、L2-空間で構成された。 さらに、大域アトラクターが無限次元となるための十分条件が与えられた。無限次元の大域アトラクターを持つ例は、半線形放物型方程式では全く知られておらず、このような新奇な現象が発見されたことは、極めて重要であり、準線形放物型方程式に特有の
ものと思われる。
また、ある種の特殊な構造を有する準線形放物型方程式に対して、あるクラスに属する初期値から出発する解軌道を、時間に関して指数的に引き寄せる、有限フラクタル次元を持つ「指数アトラクター」の存在を示唆する予備的な成果が得られた。