表題番号:2005A-041 日付:2006/03/25
研究課題2004年中越地震による小中学校の被災と地形地質条件
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 助教授 久保 純子
研究成果概要
 2004年10月23日17時56分に発生した新潟県中越地震により、新潟県中部の十日町市から長岡市にかけて大きな被害が生じ、越後川口町では震度7を記録した。被害の大きかった地域は信濃川・魚野川の氾濫原、および魚沼丘陵とその周辺地域であり、丘陵地域では地すべりなどの斜面災害により深刻な被害がみられた。また、信濃川の氾濫原では液状化などによる被害も多発した。
 本研究では、主に信濃川の氾濫原である沖積低地を対象に、平野の微地形と地盤災害との関係に注目し、なかでも義務教育の場であり、かつ、住民の避難場所としても指定されている地域の小中学校を中心に、被害と地形地質条件の関係を調査した。
 調査は以下の手順ですすめた。①地震後に国土地理院により撮影されたカラー空中写真を入手し、地盤液状化などの変状を確認する、②地震後の調査報告などから被害分布を明らかにする、③1940年代米軍撮影空中写真判読により平野の微地形区分をおこなう、④長岡市内の小中学校およびその周辺の表層地質データの収集。
 調査の結果、長岡市周辺は信濃川の扇状地が自然堤防地帯に遷移する部分にあり、扇状地上に位置する市街地での被害は小さかったが、周辺の水田地帯で砂利採取をおこなったあとに客土した地域では多数の液状化が認められたことがわかった。また、液状化による下水道施設の被害も、埋設管周辺の客土によるものが主であった。一方、長岡市北部では自然堤防と後背湿地の地形が明瞭になり、自然堤防縁辺部で液状化の分布が認められた。
 今後は以上のような微地形と地形地盤との関連にもとづく地震被害から、小中学校周辺の土地条件をさらに詳細に検討する予定である。