表題番号:2005A-022 日付:2013/05/15
研究課題近代イギリス議会と政党政治
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 松園 伸
研究成果概要
標記の課題「近代イギリス政治と政党政治」について1年間で相当の知見を深めることができた。本来わたしの研究対象は、英国リーズ大学博士学位論文"The House of Lords and the Godolphin Ministry 1702-1710"(1990)以来18世紀(ここで言う18世紀とは名誉革命から1830年代までの「長い18世紀」)に主に焦点が当てられていたが、これをより古い時代すなわちテューダー期、初期スチュアート期、また後代についても19世紀ヴィクトリア期の古典的議会政治の時代、さらには20世紀の大衆社会状況でのイギリス議会制民主主義とリンクさせ、はるかに広い視座で研究する基盤ができた。本年(2006年)9月にはロンドンでの国際会議「日英歴史家会議」(Anglo-Japanese Historians' Conference)があり、ここでの個人研究報告に生かすことはもちろん、その後に作られる論集(Proceedings)にも結実させていきたい。そして最終的には16世紀から現代までの近世、近現代にわたるイギリス議会史にまとめていきたい。その場合の観点としては1 当然のことながらイギリス議会史イコールイングランド議会史ではない。スコットランド、アイアランドに存在した議会との関連性を見る。2 Church and State が英国の政体を評する言葉としてしばしば使われることからも分かるように(国)教会は直接、間接に政治に深く影響を与えてきたし、程度の違いはあるもののいまもなおそうである。抽象的な神学論議は回避しつつ、上位、下位の聖職者が議会に、そして下院議員を選出する選挙にいかに関与してきたかを詳細に考察したい。