表題番号:2005A-020 日付:2006/03/28
研究課題項目反応理論における理論的全体像に関する教授法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 教授 豊田 秀樹
(連携研究者) メディアネットワークセンター 助手 齋藤朗宏
(連携研究者) 文学学術院 助手 室橋弘人
研究成果概要
項目反応理論(Item Response Theory, IRT)を正しく使いこなせるようになるためには,理論的な面からの学習とソフトウェアの利用方法の習得の双方が必須となる.何故なら,IRTを実地において運用していくためにはソフトウェアを用いてデータを解析できなければならない一方で,ソフトウェアを用いて推定を行う際にパラメータを設定したり,あるいは結果から有効な解釈を引き出したりするためには,IRTの理論に関する十分な理解が必要不可欠となるからである.以上を踏まえた上で,項目反応理論における理論的全体像に関する教授法の研究は,現在のIRTにおいて重要な位置を占めている幾つかのモデルに関して,理論的に十分厳密な解説と,実際の利用において必要となるソフトウェアの使い方との両方を整備する形で行われた.具体的な内容は,以下の通りである.①IRTの発想を理解する上で重要であると同時に,制約が緩いため利用可能範囲が広いモデルであるノンパラメトリックなIRT手法について,Mspwinを用いて分析を行う.②最も基本的なIRTモデルである2値項目のためのロジスティックモデルについて,BILOG-MGを用いて推定を行う.また,DIF分析の方法についても取り上げる.③選択肢間に順序関係を想定できない,カテゴリカルな多肢選択項目を分析する際に利用される名義反応モデルについて,MULTILOGを用いて分析を行う.④選択肢間に順序関係が存在していると想定できるような多肢選択項目を分析する際に利用される部分採点モデルについて,Parscaleを用いて分析を行う.⑤ロジスティックモデルにおける困難度母数を線型和に分解することによって,項目の難しさを規定する要因に関する考察を可能にする線形ロジスティックテストモデルについて,SEMのソフトウェアであるMplusを用いた分析を行う.⑥母集団が未知の異質な集団の混合であると想定するという潜在クラスの考え方を導入した潜在混合分布ラッシュモデルについて,WINMIRA 2001を用いて分析を行う.