表題番号:2004B-965 日付:2005/04/17
研究課題3次元空間上の曲面の形状とその曲率の関係に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 穴田 浩一
研究成果概要
 この研究課題は、過去に行っていた「3次元上の曲面がその曲率に依存した速度を持って収縮するときに、曲面はどのような形状に変形するか」という問題に対し、微分方程式を用いたアプローチを行ってきた研究の成果を発展させて、曲面の形状と曲率との関係を偏微分方程式などによって数学的に記述することによってさまざまな曲面の形状を表現することや形状の変化などを調べることを第1の目的としていた。さらに、このことを用いてさらにコンピュータを用いて曲面の3次元表示を行うことなどに応用することも目的の1つとしていた。
 そのために、研究計画の第1段階として、これまで行っていた曲面収縮問題の研究で得られた成果を整理した上で、さらに曲面やその曲率の変化に関連する情報を出来るだけ多く得るためにコンピュータによるさまざまな曲面の収縮運動のシミュレーションを行う、としていた。このことは、コンピュータを用いて調和平均曲率流による曲面収縮問題に対する自己相似曲面(形は変化せずにその大きさが変化する解)に対する数値実験を行い、自己相似曲面が収縮によって消滅する時刻の近似値を計算し、それをその形状やいくつかのパラメータなどと比較することを行っている。
 第2段階以降は、数値実験により得られた結果を整理した上で曲面の形状とその曲率の関係を離散的な情報と微分方程式や微分幾何などを用いた数学的に記述を結びつけ、それをさらに数値解析的手法により具体的にコンピュータ・シミュレーションを行い、得られた数学的記述を確かめた上でさまざまな方向への応用を考えることである。このことについては、これまでに行ってきた研究と結びつけるために第1段階で行った数値実験の成果をいわゆる離散微分幾何 (discrete differential geometry) の枠組みの中で整理し、(自己相似曲面でない)一般に形状が変化する曲面を初期条件として数値実験を行っている。 これらの成果は今後いくつかの研究会などで発表した上でそれらをまとめて論文として投稿する予定である。