表題番号:2004B-934 日付:2005/04/05
研究課題日中双方留学生の異文化適応の実態に関する通時的調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際教養学術院 教授 楊 立明
研究成果概要
 本研究は日中双方の留学生が異文化適応のプロセスに関する通時的研究であるため、留学前、留学中と留学後の全過程を長期間の持続調査が必要である。2004年度の研究はその予備調査の段階に当たる。 本年度の主な成果は以下の5点:
 
 ①研究協力チームの組織作り。A)2005年度北京大学や復旦大学のダブル・ディグリーやTSAプログラムに参加予定の日本人学生チーム;B)中国大陸や台湾など中国語圏から本大学国際教養学部に来ている留学1年生チーム;C)中国から早稲田大学及び慶応大学に来ている院生チーム;D)日本語学校に通う就学生など四つのチームを組織化し、留学生自身が参加可能な研究組織を作った。
 ②チームリーダを通して、横断的予備調査(アンケート)及び縦断的予備調査(追跡インタビューや留学日誌)を実施した。特に上述Aチームに対しては留学前の準備段階からデータの収集を取り組み、分析を加えた。今後ダブル・ディグリープログラムを推進するための基礎資料として蓄積してきた。
 ③データベースの構築。調査で得た文字資料及び映像資料のデータベース化を試みた。将来、調査対象の増加や調査期間の長期化に備え、大量なデータを瞬時にグループ別、テーマ別に検索し、統計分析の簡便性を図った。
 ④中国人留学生のインタビュー内容に基づき、「留学生的心声」という異文化理解の教科書を出版した。
 ⑤北京、上海の提携校及び早稲田大学北京事務所スタッフの研究協力を得て、長期にわたる持続研究の環境を整えた。
 
 本研究で得た基礎的データは今後留学プログラムの企画や実施に深く寄与し、また、留学生自身による研究協力チームの運営経験が彼ら今後の留学生活においても活用可能である。例えば、学習相互支援、異文化環境適応及び危機管理などの面でのネットワーク機能が期待できる。
 なお、本研究の成果に基づき、より広いテーマで、今年度の文部科学省科研費の申請をしている。