表題番号:2004B-870 日付:2005/02/23
研究課題放電場を利用したマイクロ駆動機構
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助手 梅津 信二郎
研究成果概要
バイオテクノロジーやマルチメディアへの寄与を目指して,様々なマイクロマシンが提案されている.これまで放電場では短絡によって静電気力が作用しないと考えられていたが,我々の針対平板電極系放電場に関する研究によって,コロナ放電場ではイオン風の反力に起因する100 Nオーダの電極が反発する方向の力が生じることがわかっている.本研究では,この針対平板電極系放電場のイオン風を利用した駆動機構・送風機構を作成し,以下のことを明らかにした.
○駆動機構
1.本駆動機構は,傾けた針電極と対向平板電極から構成される単純な構造である.
2.機構の駆動速度や方向を針電極の傾きや印加電圧で単純にコントロールできる.
3.並進駆動だけでなく,逆方向に針電極を設置することで回転駆動も可能である.
4.また,イオン風の反力を利用した浮上機構を作成可能なことを実証した.
○送風機構
1.小型で,騒音がないマイクロファンを作成した.
2.スポット冷却が可能で,10度程度の冷却が可能であり,0.数%の冷却効率であった.
3.針電極と平板電極の位置,印加電圧によって,冷却のスポット径や冷却温度をコントロールできる.
 その他には,
1.針電極の代わりに液体を満たしたチューブを使用することで,液滴が吐出することがわかっている.この現象を回路の配線を描くことに利用した結果,100 mオーダのラインが描けた.
2.摩擦係数に異方性があるシートの上面に交番的な静電力を作用させると,並進駆動する機構の作成し,特性を把握した結果,印加電圧や印加周波数によって,駆動速度・駆動方向が変わることがわかった.また,駆動メカニズムを計算によって検証した結果,実験結果が概ね妥当だった.
3.静電力を利用して,粒径の異なる粒子を分離する機構を試作し,特性を把握した結果,印加電圧が高いほど,分離される粒径が大きくなった.