表題番号:2004B-861 日付:2005/03/18
研究課題学生用のコーパス分析ソフトウエアシステムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 助教授 アントニ ローレンス
研究成果概要
今回提案しているテクニカルリーディングとライティングのための統合テキスト分析ソフトウェア「AntConc」(http://www.antlab.sci.waseda.ac.jp/)は2004年度、英語教育業界で高く評価されています。2004年度には、国内外のユーザーから多数の「AntConc」の成功例の報告を受けて、そのユーザーからのソフトウェアに関する変更点や改善点の要望を最新のバージョンに反映させています。スペインの翻訳教育プログラムでは「AntConc」が活用されているし、ハワイ大学のコーパス言語学教育プログラムにも度々使われています。また、世界中でコーパス言語学のチュートリアルやセミナーでデモンストレーションソフトウェアとして利用されています。

2004年度には、「AntConc」のバーションが3つリリースされ、2004年12月に最新版の「AntConc 3.0」をアップロードしました。「AntConc 3.0」は多くの点で改善され、新しいツールも含まれています。提案書で書いた目標に従って、「AntConc 3.0」にはWWWブラウザーが含まれるのでテキストのデータベースがなくてもテキスト分析が可能です。しかし、スタンドアローンのバージョンに統合することが困難であるので、2005年度中再検討し、統合する予定があります。また、「AntConc 3.0」はタッグされたデータやUnicodeデータにも対応しています。その上、新しい「Word Clusters」と「Lexical Bundles」のツールを開発し、’collocates’ や ‘associates’を容易に分析できるようになりました。その他、進化したワイルドカードも含まれているのでコンピュータに慣れていないユーザーは正規表現が分からなくても高度な分析が可能になります。改善の一つとして、GUIはより使いやすく設計し直しています。

2004年の夏にミシガン大学のSwales教授とLee教授を訪問し、XMLやHTMLのようなコーパスデータフォーマットについて研究しました。その時、このデータフォーマットがどのようにコーパス言語の研究で使われているか調べて、具体的な例も幾つか紹介してもらいました。また、訪問中ミシガン大学のEnglish Language Institute(英語言語研究所)の教職員のために「AntConc」のセミナーを行いました。

大阪大学大学院のテクニカルリーディングとライティングのプログラムをサポートするため、2004年の夏に大阪大学を訪問し、「AntConc」のセミナーを開催しました。また、そのプログラムの担当教員、野口教授(武庫川女子大学)と度々連絡を取り、より良いソフトウェアを開発するために変更点や改善点を検討しています。その上、大阪大学大学院で「AntConc」を授業中に使っている学生にアンケートを取り、フィードバックを新しい「AntConc」のバージョンに反映しています。

2004年度には、下記のように幾つかのセミナーや発表が行われました。
1)ミシガン大学でのセミナー (2004年7月)
2)大阪大学でのセミナー (2004年8月)
3)International Workshop on Language e-Learning 2004での発表 (2004年12月)
4)会津大学でのセミナー (2005年3月)