表題番号:2004B-853 日付:2014/04/03
研究課題暖簾概念の歴史的展開およびその本質に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 助手 山内 暁
研究成果概要
①【暖簾概念の誕生とその特徴― 19世紀後期における英国会計学を中心に ―】(研究発表会および論文)

 本報告(本稿)は、暖簾概念をめぐる議論の変遷を歴史的に渉猟してその特徴を整理・分析することにより暖簾の定義をめぐる議論の混乱を解消し、その上で、現代における暖簾の定義づけを試みることを最終的な目的に据えていた。
ただし、本稿のみでその全てを取り扱うことはできなかったため、本稿ではその第一歩として暖簾概念が誕生したといわれている19世紀後期という時代に限定して、その整理・分析を行った。具体的には、英国の会計学において暖簾概念が誕生したといわれている1882年からDickseeによりその概念が整理された1897年に至るまでの暖簾概念をめぐる各論者の所説を整理・分析し、当時の暖簾概念の特徴を浮き彫りにしていった。

②【現代における暖簾概念に係る考察- 無形項目の側面からみた暖簾概念の歴史的変遷を手がかりとして-】(論文)

 本稿では、前述した暖簾概念に係る研究の一環として、特に、「無形項目」という側面からみた暖簾概念が歴史的にどのように変化してきたのかということを分析し、それを踏まえて、当該側面からみた暖簾概念が現代においては如何なるものであるのかという点についての考察を行った。


③【暖簾の会計学的性格とその会計処理方法― わが国と諸外国の基準との比較検討を中心として ―】(学会発表および論文)

 本報告(本稿)は、買入暖簾と自己創設暖簾との峻別という観点から、暖簾に対して適用すべき会計処理方法について検討を行うことを主目的としていた。具体的には、現行諸基準(米国基準・英国基準・国際基準・日本基準・EU基準)および提案における暖簾の会計処理方法を包括的に比較整理し、それらの現行諸基準および提案において計上される暖簾のなかに買入暖簾と自己創設暖簾とが混在しているという問題点を指摘した上で、これらの暖簾を明確に区別すべきであるという観点から暖簾に関して適用すべき会計処理方法について検討を行った。