表題番号:2004B-840 日付:2009/01/18
研究課題マレーシアにおける女性の生涯設計と進路形成―比較への試み―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 助手 鴨川 明子
研究成果概要
 イスラーム教国であり多民族国家であるマレーシアを事例とし、社会開発過程における青年期女性の進路形成過程とその構造を、比較の手法により明らかにすることに努めた。具体的な研究課題は、2000年度から実施してきたフィールド調査の結果を、エスニック集団別に比較・対比しながら分析することにあった。その過程では、文献調査、政策分析、実地調査の分析、研究成果の公表を行った。分析の結果、進路形成過程において、女性個人の心理を、国や地域の文化的意味体系に即して解釈することの重要性を指摘した。

 そうした成果について、日本比較教育学会大会(2004年7月)、第三世界の教育研究会(2005年1月)、早稲田大学ジェンダー研究所定例研究会(2004年11月)で報告する機会を得た。また、各学会や研究会で指摘された点を修正し、研究成果の一部を論文として公表した(研究成果発表参照)。

 諸事情によりマレーシアへの研究出張ができなかったが、特定課題研究費は書籍の購入などに充てた。今後の課題として、青年期女性の進路形成のダイナミズムを分析する枠組みを精緻化することが挙げられる。特に、進路選択を人生の一時点でとらえるのみならず、一生涯においてとらえなおすためのモデルを構築することによって、マレーシアに留まらずアジアの他の国や地域の女子教育支援に示唆を与えることが課題である。さらに、マレーシア以外の国や地域の女性教育研究や、日本のキャリア・エデュケーションの動向についても調べ、新しい研究課題を模索したい。