表題番号:2004B-833 日付:2009/05/09
研究課題都市の消費特性と商圏の細分化―コンビニエンスストアのPOSデータ分析を通じて―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 助教授 箸本 健二
研究成果概要
 本研究の目的は,首都圏に分布する287店舗のコンビニエンスストア(以下,コンビニと略記)を,POSデータに基づく販売特性をもとにタイプ分類するとともに,曜日が販売特性に与える影響を把握し,その背景にある地理的要因を検討することである.
本研究の分析結果は次の3点に要約できる.第1に,一都七県の287店舗のコンビニは,販売特性から7つの店舗類型に区分された.また店舗類型を規定する要素は,主として外出先因子(昼間人口),家庭内因子(夜間人口),他業態代替因子(競合状況)の3因子であり,この3因子の累積寄与率は64.5%に達した.
 第2に,7つの店舗類型の地理的分布に注目すると,国道16号線を挟んで,その内側に卓越する5類型と,外延部に卓越する2類型に区分(国道16号線の外側)とに大別できる.さらに内側の5類型は,都心部に多い「オフィス街型」「高競合型」と,相対的に郊外部に分布する「近隣多目的型」「ロードサイド型」「学校・駅前型」に細分化された.また外延部に卓越する2類型は,人口密度の高低で「他業態補完型」「郊外近隣多目的型」に分類された.
 そして第3に,平日・週末別に得られた2つの店舗類型を比較すると,含まれる店舗こそ異なるものの,店舗類型そのものは曜日の違いを超えてほぼ共通しており,上述の7つの店舗類型と同様の解釈が可能であった.そこで,平日・週末間での店舗の類型間移動を検討した結果,①各類型の平均残存率は60.6%と高いこと,②国道16号線の内側に顕著な5類型と,国道16号線の外側に顕著な2類型は,曜日別分析でも同様の立地傾向を示すこと,③平日・週末間で来街者の数や性格が大幅に変化する「オフィス街型」「学校・駅前型」で週末の残存率が低いこと,の各点を確認した.