表題番号:2004B-203 日付:2007/11/18
研究課題家庭用品から放散する化学物質のリスク評価管理に関する総合研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 教授 田辺 新一
研究成果概要
シックハウス症候群が社会問題化している。その原因として考えられている内装建材からの放散については様々な研究がされてきた。近年、建材のみならず、室内に存在する種々の家庭用品から放散される揮発性有機化合物(VOCs)やカルボニル化合物等に関心が寄せられている。本研究では、これらの家庭用品からの放散特性の把握を行うことを目的とした。ベークアウトされた1m3チャンバーに清浄空気を供給している状態でバックグラウンド濃度を測定した後、測定機器を設置した。チャンバーを密閉し非通電の状態で12時間放置した後、測定対象品が入っている状態でバックグラウンド濃度を測定した。サンプルバックグラウンド濃度の測定が終了した後、チャンバー外部から機器の電源を入れた。その時間を0時間とした。同時にトラベルブランクの測定も行った。それぞれの捕集では、VOCsに関してはTenax-TA捕集管、アルデヒド類に関してはSep-Pak DNPHを用いた。パソコンに関しては、トルエン気中濃度最大値は通電後3時間前後になった。TVOC測定結果に関しても同様であった。高放散の家庭用機器もみられ、化学物質低減化対策が必要とされる。また、室内の換気量を増加するなどの対策が必要とされることが示唆された。一方、SVOC(準揮発性有機化合物)に関してフォグ法を用いて測定を行った。対象とした建材は、塩化ビニル樹脂系壁紙および塩化ビニル製床シートであり、SVOCの付着量を評価した。温度条件を変えた付着量測定により、温度を上げることで付着量が増す物質とそうでない物質があることがわかった。DBP、DEHPについては温度をあげることにより、付着量に顕著な増加がみられ、温度依存性の高さが確認された。また、温度による付着量の増加傾向は同一成分であっても、試験体の種類や材質等により異なることが確認された。