表題番号:2004A-393 日付:2005/03/31
研究課題治安維持法と朝鮮人文学者に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際教養学術院 教授 布袋 敏博
研究成果概要
 研究課題の資料ため、下記の通り調査を行なった。

〇2004年8月10日~9月10日:韓国・国立中央図書館と、高麗大学、ソウル大学、延世大学の各中央図書館

 上記滞在は、交換教員制度により31日間、高麗大学に滞在したものであり、この期間中に購入した資料・書籍類等の費用の一部を研究課題によった。
 この滞在中に、本来は、大田市の国立資料保存所に所蔵されている治安維持法に関係した朝鮮人文学者たちの判決文を調査、収集する予定であった。しかし、毎年8月下旬に行なわれているテーマカレッジ「コリア研究」の韓国研修旅行の引率・同行(私費による)や、現地滞在中であった交換留学生、短期語学研修生たちの世話等のために、充分な調査時間を取れなかった。この判決文の本格的な調査および収集は2005年度への継続課題である。
 この期間の大きな収穫のひとつは、かつてタブーであった人物たちの全集類などを入手できたことである。韓国は、金大中前政権、盧武鉉現政権下で、長くタブーであった左翼関係、北朝鮮関係の資料が順次公開されていっており、今回の滞在中にも、たとえば『朴憲永全集』など多くの書籍・公刊資料を入手することができた。これらの購入費用の一部に研究課題を充てた。
 さらに、年度の終わり近くにまた重要な情報を得た。すなわち、植民地期に治安維持法関連で検閲削除された文学作品の該当箇所が、日本語に訳された形でではあるが、官憲資料として残されているということである。これについてはさっそく、入手すべく、その入手方法など、行動を起こしているところである。これも2005年度に引き続く課題である。
 なお、当初の予定ではもう一点、05年2~3月にもロシアか中国へ資料調査・収集に出かける予定であると計画書に記したが、入試等の業務に引き続き、所属箇所である国際教養学術院の業務で、学生募集の説明会および交換留学制度の打ち合わせ等のため韓国の高校、大学を訪問(3月12~17日)するなどしたため、時間がとれず、今回は見送らざるを得なかったことを付記する。