表題番号:2004A-338 日付:2005/03/23
研究課題擬似対角化の一般化アルゴリズムと非干渉化制御系設計
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 李 羲頡
研究成果概要
大規模なシステムは,一般に複数の操作量と制御量が相互に干渉し合い,強い相互干渉を有する制御対象に対して,そのことを考慮せず制御系を設計したときに十分な制御性能が得られない場合がある.このような多入力多出力制御系に対して,強い相互干渉を積極的に打ち消す非干渉化前置補償器を周波数領域で擬似対角化により設計する方法が有効なものとして用いられてきた.しかしながら、この非干渉化前置補償器を設計するための擬似対角化法は,従来,制御対象の入出力数が等しい場合にのみ適用可能であった.
 そこで、本研究では、入出力数が等しいとは限らない制御対象へも適用可能な一般化擬似対角化アルゴリズムを提案した.またこのとき、ひとつの前置補償器で非干渉化が達成できない場合が多く有り、そこで、複数の前置補償器の直列,並列,直並列接続で非干渉化を達成する前置補償器の多段階接続非干渉化法も提案している.
 一方、擬似対角化法は,制御対象と前置補償器の直列接続伝達関数行列の非対角要素絶対値の二乗和が最小になるように非干渉化前置補償器を設計するので,完全に取り除くことができなかった他の制御ループからの影響を考慮しながら,単一ループ制御系を設計する必要があり,多くの労力を必要とする.そこで本研究では,入出力数が等しいとは限らない多入出力制御対象(一次遅れ・むだ時間系)に対して,一般化擬似対角化アルゴリズムによって設計された非干渉化前置補償器により対角優勢が達成させた後の多入出力型PID制御パラメータ調整則を導出している.