表題番号:2004A-337 日付:2005/03/25
研究課題ウルトラワイドバンド高線形・高効率GaAsパワーアンプの研究・開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 吉増 敏彦
研究成果概要
1800 MHz~2700 MHzのワイドバンドにおいて動作する線形パワーアンプを実現するための回路方式の研究を行った。トランジスタには、高周波での利得が高いInGaP/GaAs HBT(ヘテロジャンクションバイポーラトランジスタ)を使用し、このHBTの非線形動作を補償するための回路を考案した。本補償回路は、ダイオードと抵抗から成り、HBTの出力が増加するにつれて生じる歪み(AM-AM歪み、AM-PM歪み)を補償する。この補償回路をGaAs HBTパワーアンプに適用することで、電力効率を約10%改善できることが回路シミュレーションにより得られた。

そこで、本GaAs HBTパワーアンプのウエハ試作を行い、下記の性能を得た。
1)周波数範囲 1800~2700 MHz
2)出力 2 W (33 dBm)
3)電力効率 30 %
4)利得 27 dB
出力、電力効率、利得ともに回路シミュレーションで予測された特性をほぼ実現し、補償回路の有効性が実証された。

1800~2700 MHzの広周波数範囲で動作するパワーアンプは、種々の携帯機器(携帯電話、WLANなど)や基地局などの消費電力を低減できるものと期待され、本研究は成功を収めた。本技術ならびにGaAsチップは、現在、ベンチャー企業(ファブレスの設計会社:D-CLUE社)にて製品化にむけて、検討が進められている。本研究室においても、製品化のサポートを行っていく予定である。