表題番号:2004A-333 日付:2005/03/18
研究課題数理的理解に拘束されないマインズアイによる発想の工学的具現化システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 松本 將
研究成果概要
1.技術開発段階におけるリスクマネジメントと意思決定手法の研究
 最終的に人間の経験と勘によって意思決定する技術開発実行可否問題を、定量的に簡易評価するプログラムを作成した。汎用性を考慮し、Excel(エクセル)を用いたソフトをとりまとめた。試運用として中国における家庭用エアコンを対象にし、中国における300例のニーズアンケート調査とその分析、それを踏まえた試計算を行い、実用できることを確認した。(成果発表:1件)

2.マインズアイからの発想の具現化検討
 子供用3輪車サイズ(前後輪間隔60cm以内、2輪間隔50cm以内)で、大人が使える3輪車を松本研究室修士1年(6名)で発想し、従来にない3輪車を設計、制作した。発表は福岡県遠賀町の三輪車4時間耐久レースに参加することで行った。マスコミ(毎日新聞)が、早稲田大学のアクションとして採り上げ、準備段階とレース結果の2度にわたり、取組状況を記事にした。
 アイデア発想は、6名修士学生のマインズアイからの発想を図面にし、相互情報交換を3回行い、試作アイデアに収束させた。その結果、当初全く予想していなかった形態が生まれ、この手順をシステムとして行くことも具現化の方策になることがわかった。(成果発表(取材):2件)

3.松本零士のマインズアイの研究
 松本零士の著作を精読し、科学技術的な発想のプロセスを分析した。その結果、発想の原点は、本人の経験と情報蓄積にあることがあり、個人の中に蓄積した膨大な情報を組み合わせてオリジナルな発想へ転換し、絵画として具現化している。特に本人の記憶力に依存するが、幼児から少年時代の蓄積が失われていない。これは、少年時代の体験やアイデアを繰り返すことにより、より強力な個人情報としてマインズアイの力になっていると分析された。経験情報を画像にしてゆくプロセスを今後の課題にしてゆく。
なお、少年時代の各種興味と経験がより大きな発想を生み出す駆動力となることが判ったので、松本零士氏の勧めもあり、北九州に早稲田大学を拠点とする宇宙少年団を立上げ、分団長として少年の科学技術啓蒙活動を展開することになった。(成果発表(取材):1件)