表題番号:2004A-332 日付:2005/03/18
研究課題微小集中接触域を有する機械要素のトライボロシー設計手法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 松本 將
研究成果概要
1.微小接触域を有する転がり接触面の転動疲労寿命の解明
 スラスト玉軸受式転動疲労試験機、4ローラ式転動疲労試験機を用い接触息サイズの影響を実験検討した。その結果、接触面が弾性流体潤滑油膜で分離されない状態(混合潤滑状態)では、点接触(スラスト玉試験)では、接触面の相対曲率半径が0.2mmまで、1.0mmまでは、それより大きな相対曲率半径の場合の転動疲労寿命と変わらないことがわかった。
 この理由として、接触面が油膜分離されない場合は、表面起点き裂型の転動疲労になり、疲労寿命が材料の応力体積の大小に左右されないことを考察した。本研究により従来は相対曲率半径10mm止まりであった実証サイズ域が広がり、微小領域での転動疲労寿命設計の考え方が明らかになった。
 今後は、内部起点き裂型である接触面油膜分離状態での転動疲労寿命検証を行い、微小接触域を有する転がり接触面設計法の確立を目指す。(成果発表:3件)

2.転がり軸受活用型マイクロトラクションドライブの開発
 アンギュラ玉軸受の保持器を遊星キャリアとした新方式のトラクションドライブを考案し、性能確認を行った。試作諸元は、外径30mm、内径10mm、玉径4.76mm、玉数9個、接触角15degで、キャリアを出力としたスター型遊星方式で、最大伝達トルク8Nmを達成し、同サイズの遊星歯車装置(並行実験確認4.5Nm)を上回る性能が確認できた。
 なお本開発トラクションドライブは、(財)メカトロニクス技術高度化財団および三菱重工業(株)の共同研究として、小型飛翔ロボット用として、キャリア固定の二重反転変速装置への適用を進めるベース技術となった。(成果発表:2件)

3.微小接触を有するトライボロジー要素の設計手法の改善研究
 動力伝達歯車歯面ピッチング(転動疲労)寿命の確立設計手法、および3元アブレシブ摩耗対策としての微小溝効果に関する研究を実施した。(成果発表:2件)