表題番号:2004A-330 日付:2005/03/23
研究課題即時性と柔軟性を備えた火災防災システム構築に向けた基盤要素技術の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院情報生産システム研究科 教授 馬場 孝明
研究成果概要
即時性と柔軟性を備えた火災防災システム構築に向けた基盤要素技術として、本研究では、以下の取り組みを行った。

センシングユニット部の基本検討:この部分は、ルネサステクノロジ社から技術支援強力を得て、μTエンジン(32ビットRISC
ベースCPU)を主体とし、これに監視用カメラ、画像処理機能を搭載したモジュールにより実現した。
分散配置と情報伝達手段の方式検討:火災、防災等の危機的状況を遠隔地よりリモートセンシングする方式の基礎実険を上記の
センシングユニット部を遠隔リモートサーバーとして構成することにより試みた結果、インターネット網を介して、遠隔地から
危機的状況を認識出来ることが明らかとなった。分散配置したセンシングユニット部からの情報信号を効果的かつ集約的に収集
すべく、モバイル・インターネット網をアドホツクネットワークとして活用する方式を提案し、これを実現するための伝送プロトコル
について検討を加えた。
画像の符合化方式の開発:検知された危機的状況は、場合によっては、その画像情報を速やかに遠隔地にモバイル・インターネット網
を介して送信される必要を生じる。この場合の画像情報を効率よく伝送する方式として、画像圧縮が考えられる。本研究では、
ウェーブレット変換を三次元空間に拡張展開し、画像の状況内容により、適用するウェーブレット変換の基底関数をアダプテイブ
に選択する動画像圧縮方式を新たに提案した。この方式は、画像情報を伝送経路の許容量によって、粗くしたり、高精度にしたり
してもダイナミックに適応できる可能性があるところに特徴がある方式である。
位置検出の方式検討:災害が発生した場合、その発生位置を正確に捕らえる事が出来るか否かが、救急活動の成否を分けることにな
る。特に室内での正確な位置検出は不可欠な技術となる。本研究では、ダイポール・アンテナの遅延特性を正確に推定することに
より、GPSなどの技術では、カバーされ得なかった室内等、閉じた近距離空間での位置特定技術の基本原理提案を行った。